
水滸伝の人物論評も今回で6回目となった。
同作は梁山泊だけでも108人もおり、人数が多すぎて大変なので、一気に論評する。
また、宋江、盧俊義、呉用、公孫勝、柴進、朱武、李応、秦明、呼延灼、関勝、林冲、董平についてはすでに論じているため、それら以外の好漢(天罡星の残り)について述べたいと思う。
なお、朱武以外の地煞星の71人は次回の記事で論ずることにする。
目次
★人物論評
早速、論評を行う。
あくまで個人的主観によるものなので、苦情は一切受け付けないことを宣言しておく。
花栄

弓術だけでなく、剣と槍にも優れている。
見せ場も多く、最後まで大活躍していた。
男らしい生き方がかっこいいと思う。
朱仝

悲劇の人の代表格である。
仲間入りの時の子供殺害はひどかった。
よく、李逵と同じ空間にいられたものだ。
関羽にそっくりな風貌で性格的にも仁義の人であり、梁山泊では数少ない常識人である。
最後まで生き残った好漢の中では珍しく大出世を遂げるのが救いであろう。
魯智深

大人気の豪傑。
喧嘩っ早いのが玉に傷だが、正義感が強く、人情に篤いのが魅力的である。
悟りを開いて大往生とは誰が予想しただろうか。
武勇もすさまじい強さをほこり、大活躍したというすばらしい豪傑だ。
武松

梁山泊で最強クラスの豪傑である。
拳で虎を殴り殺す様は圧巻だ。
誰よりも強い義侠心の持ち主で悪に対して容赦がないところが最大の魅力といえよう。
左腕を失ったのが残念だ。
張清

石つぶての達人だが、これでとどめをさせた奴がいない。
魯智深、徐寧、呼延灼、劉唐といった強い奴等を一蹴しているのは評価に値する。
瓊英と結婚できたものの、戦死してしまったことにより、嫁が未亡人になったのは不運というしかないだろう。
作中での扱いは比較的良い方だったのではないかと思う。
楊志

不運の人。
方臘討伐に参戦できなかったが、そのようにした原作者には何の意図があったのだろうか?
実力派で超一流の豪傑なだけに目立った活躍が少ないのが残念だ。
一匹狼のタイプで正直者という点は武松に似通っている。
徐寧

達人クラスの強さを誇るのだが、活躍がそれほど多くなく、一騎打ちで敗れることが多い。
かませ犬扱いされているきらいがある。
家宝の鎧盗難事件の時は哀れであった。
索超

戦闘シーンしか出番がない豪傑の一人。
一騎打ちで楊志と互角というとてつもない強さの持ち主である。
この男の方が董平よりも五虎将軍にふさわしい気がするのは俺だけではあるまい。
戴宋

異能力の神行法があるが故に使い走りに終始していた。
武芸にも長けているということだが、戦う場面といえば馬霊を追いかけたところくらいで、その時ですら見失ってしまい、ろくに剣を振るっていないという有様である。
李逵の上官に当たる人物だけあって、叱りつける様子が多々見られた。
都合よく使われているものの、席次が高いのが救いだ。
劉唐

とてつもなく強いのだが、活躍度に関しては物足りない。
おそらく、喧嘩っ早いという設定が武松や魯智深と被るのが原因だろう。
ちなみに、横山光輝の漫画では初登場時に妖術を使っていたため、公孫勝との区別がされていなかったという逸話があるわけだが、その際に公孫勝が晁蓋の屋敷で使用人を殴り倒しており、それが原作における劉唐の行動であった。
このタイプのキャラにありがちな思慮の浅さが欠点で、最期を遂げる時にもその欠点が出てしまったのが残念なところだ。
李逵

梁山泊で最も厄介な奴である。
分別が全くなく、本能のままに生きている。
同じことを何度言っても分からないのが宿星によるものだというのも困った点だ。
雑魚は殺しまくっているが、強敵との戦いは少なく、一騎打ちで負ける場面が多いのが意外な人物である(張順との水中戦や焦挺との喧嘩で歯が立たない)。
毒を飲んで死ぬ場面は名シーンである。
史進

目立つのは最初だけで、梁山泊入山後はただいるだけになってしまった。
戦死した際もその他大勢のような扱いであった。
思えば読者を物語の世界に引き込むためだけにいたのではないだろうか。
なんとなくだが、そんな気がしてならない。
穆弘

宿星と八驃騎を孫立と入れ替えるべきである。
大して強くもなく、騎馬隊と何の関係もないではないか。
作者にどんな意図があったのだろうか?
雷横

あの劉唐と50合も打ち合った剛の者。
異名の元になった跳躍力が活かされる場面は皆無だった。
相方の朱仝ほどの功績を挙げられなかったと思う。
李俊

王に昇りつめた強運の持ち主。
面倒見のいい兄貴分であったことからなかなかの人徳の持ち主であったことが推察される。
異名もかっこいい。
阮小二・阮小五・阮小七

個性の強烈な三兄弟。
活躍度が大きく、水軍の強さが無敵である。
阮小七のみが生き残り、天寿を全うしたのが印象的だった。
張横

弟ほどの活躍がなかった。
兄より優れた弟が存在したのだ。
強敵を倒していないので、印象が薄い。
張順

水中戦では無類の強さをほこり、あの李逵に勝ったほどの実力をほこる。
梁山泊入山後も大活躍で水軍にとってなくてはならない存在だった。
最期を遂げた時に霊となったのは大いに驚かされたものだ。
楊雄

梁山泊入山前のエピソードはそれなりに長いが、入山後は影が薄くなってしまった。
派手な一騎打ちをしていないのがその要因であろう。
石秀と一緒にいることが多いのは仲が良いからなのだが、活躍度はあちらの方が上なのも存在感が薄い理由といえる。
石秀

命知らずで困っている人を助けずにいられないという、最も豪傑らしい漢。
思慮の深い一面があるためか敵地に侵入して味方と呼応するという任務が多かった。
最期がひどすぎた。
解珍・解宝


二人で一人といった感じの好漢。
いつでも一緒に暴れ回っており、勝利に貢献した。
最期は無残だった。
燕青

武芸のみならず、歌舞音曲にも通じており、整った顔立ちと誠実な性格で頭の回転が速いという非の打ち所のない好人物。
実にうらやましいかぎりである。
★終わりに
独断と偏見ばかりを述べまくったが、誰もが同じことを思うのではないだろうか?
梁山泊という組織の性質上、武芸の達人であるものの、短気で酒好きという似たり寄ったりの人物の集まりになってしまうからだ。
だが、それでも魅力的な奴等ばかりであるのは紛れもない事実である。
波乱万丈に満ちた好漢達の生き様を心から楽しめることが水滸伝のおもしろさを味わうことなのだ。
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