
敵対する者を包囲した時には一気にとどめを刺してしまいたいところだが、それは大変危険である。
なぜなら、逃げ道を失ったことにより、何をしでかすか分からないからだ。
これを古代中国の故事名言で「囲師(いし)は周するなかれ」という。
本記事はこの言葉について解説したものである。
★言葉の意味
敵を包囲した時は逃げ道を開けておかねば敵が必死になり、手痛い反撃に遭うという意味。
故に完全包囲は厳禁なのである、という孫子の兵法の一説だ。
★逃げ道を開けるとどうなる?
窮鼠猫を噛む事態を避けるために逃げ道を開けておくと、敵はそこから脱出しようという気持ちを起こして戦意を失うため、味方の損害を最小限にできるのだ。
★戦術的観点から考える
この言葉を軍事行動の視点で見ると、専ら野戦のことであり、攻城戦の場合は完全包囲が原則といわれているため、用兵術にそのまま適合するものではない。
もちろん、近代の戦争における化学兵器を用いた作戦時には例外となる。

★効果的な使い方
逃げ道を残すのは心理的な寓意をくみ取る時だ。
人間関係を悪化させないようにするには、相手を追い詰めないのが一番であり、これが平和的な方法といえるのだ。
話し合いの際に最も効果を発揮するのである。
★終わりに
口論や夫婦喧嘩で相手を追い詰めると、それがきっかけで腕力に訴えてくることがある。
これは逃げ道を完全に塞いでしまったからで、そこに至るまでに容赦がなさ過ぎたのだ。
思わぬ報復で重傷を負ったということがないようにするためにも、あまり追い詰めすぎないようにすることを心がけたいものである。
