
天下統一を視野に入れた戦力には知略に長けた軍師が不可欠である。
これを「帷幄の中に謀をめぐらす」という。
本記事ではその言葉の意味である「智謀の士を用いることの重要性」について述べようと思う。
★意味
大将の幕営(帷幄)において策略を用いる。
参謀を高く評価する時にこの言葉が使われる。
計画や謀に優れている様を表し、あらゆることを的確に処して物事をうまく運んでいくことを意味する言葉だ。
作戦を戦場から遠く離れた本営で練りながら、戦地の敵の動きをことごとく看破して勝利に導くことをこのようにいう。
出典は史記の高祖本紀である。
★解説
漢の高祖・劉邦が名参謀・張良を評した際に言ったとされる。
これは劉邦が宿敵・項羽を破って天下を統一した際に勝因を分析し、部下たちに聞かせたものである。
劉邦曰く「帷幄に中に謀をめぐらし、千里の外に勝利を決するという点では。わしは張良に及ばない。内政については蕭何に、軍事については韓信に敵わない。だが、わしはこの3人を使いこなすことができた。項羽には范増という傑物がいたが、この1人すら使いこなすことができなかった。これが勝敗を決したのだ」とのことである。
この言葉により、劉邦は知恵を用いることの大切さを説いたのであった。

★総評
戦いは力だけでは勝つことができない。
対局を見据え、国家100年の大計を用いる知略が最も重要である。
大志を貫く道を雄飛するには時代の流れを読み、的確な手を打つことが絶対に欠かせないのだ。
劉邦は配下全員の前で張良をほめることによって、戦の先頭で戦った将軍の功績は大きいが、それよりも戦略を立てる参謀の功績はもっと大きいとしたのである。
何か大事をなすためには張良のような優れた参謀を自分の陣営に迎えたいものだ。