• 金. 12月 19th, 2025

乱世の風

「社会風刺」「商品レビュー」を中心としたブログ。将来的には風変わりなカテゴリーばかりの摩訶不思議な世界を構築する。

警備業界の労働環境がブラックである理由・問題点・危険性について解説!!

By神龍天舞

12月 19, 2025

警備業界は、生活に欠かせない存在だ。

工事現場の交通誘導、商業施設の巡回、イベントの安全管理、企業の防犯対策など、社会の安全を支える重要な役割を担っている。

しかしその一方で、「ブラック」「過酷」「辞める人が多い」というイメージが根強く、実際に離職率も高い業界である。

この記事では、警備業界がブラック化しやすい理由を、歴史・法律・業界構造・企業の収益モデル・現場の実態・心理的負担・危険性といった多角的な視点から徹底的に解説する。

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目次

★警備業界がブラック化した歴史的背景

警備業界が「ブラックだ」と言われるようになった背景には、単なる企業の体質や現場の問題だけではなく、業界が誕生した時代の空気や社会構造、経済状況の変化など、長い歴史の中で積み重なってきた要因が深く関係している。

現在の労働環境の問題は、偶然生まれたものではなく、業界の成り立ちそのものに根を張った構造的な課題と言える。

以下に警備業の歴史を掲載する。

警備の始まり

日本で警備業が本格的に広がったのは、1960〜70年代の高度経済成長期であった。

建設ラッシュが続き、大型商業施設が次々と誕生し、都市化によって防犯ニーズが急速に高まったことで、警備員の需要は一気に拡大した。

しかし当時の警備業界はまだ未成熟で、労働環境の整備が追いついていなかった。

低賃金の奴隷として扱われ、研修制度も不十分、労働時間の管理も曖昧で、安全対策も整っていない。

こうした状況の中で、警備員は「安くて便利な労働力」として使われる構造が形成されてしまい、これが後のブラック化の土台となった。

警備業法が制定

1972年には「警備業法」が制定され、業界の健全化が図られた。

しかし、法律ができたからといって現場の実態が劇的に改善されたわけではない。

法定研修は最低限の内容にとどまり、企業によって教育の質に大きな差が生まれ、実務に必要なスキルが十分に身につかないまま現場に出されるケースも多くあった。

法律は整備されたものの、現場の質は企業任せのままという状況が続き、形骸化が進んでいったのだ。

交通誘導警備が増加

1980〜90年代のバブル期には、建設現場が爆発的に増え、交通誘導警備の需要が急増した。

この時期に業界全体で広がったのが「人海戦術」だ。

とにかく人を集めて現場に送り込むことが優先され、研修よりも人数確保が重視された。

長時間労働が当たり前となり、日雇い的な働き方も広がった。

この文化はバブル崩壊後も残り、現在の長時間労働・教育不足・低賃金といった問題の根本につながっている。

安月給でこき使われるきっかけ

バブル崩壊後、建設業界全体が不況に陥ると、元請け企業はコスト削減を強化し、警備料金の単価が大幅に下がった。

下請け構造が強まり、値下げ圧力が増し、警備会社の利益率は低下。

結果として、社員に十分な給与を支払えず、研修や安全対策に投資する余裕もなくなった。

こうして、低賃金・低待遇が業界全体に固定化されていくこととなってしまった。

少子化による人材不足

2000年代に入ると、少子高齢化が進み、若い人材が警備業界に集まりにくくなっていった。

給料が低いうえに、体力的にきつく、危険が多いことから社会的評価も高くないという理由により、若者が敬遠し、高齢者中心の業界へと変化していった。

その結果、人手不足が深刻化し、休みが取りにくくなり、一人あたりの負担が増え、新人教育も追いつかないという悪循環が続いた。

トラブルの増加

交通誘導やイベント警備では事故やトラブルが増加し、警備員の責任が重くなった。

しかし、給料は上がらず、危険手当も十分ではなく、研修も不十分なままなのは依然としていた。

現場のフォロー体制も弱く、「責任だけ重く、待遇は低い」という構造が固定化されたのだ。

参入障壁の低さからブラックになりやすい

警備業界は参入障壁が低く、企業数が非常に多い業界だ。

そのため、法令遵守が甘い会社が紛れ込みやすい。

労働時間管理のずさんさ、給料未払い、サービス残業、過剰なシフト強制、パワハラなど、いわゆる「ブラック企業」が生まれやすい土壌が形成されている。

★法律(警備業法)の限界と現場のギャップ

警備業界には「警備業法」という専門の法律が存在し、警備員の教育や配置基準、安全確保のためのルールが細かく定められている。

一見すると、法律があることで業界全体の質が担保されているように思える。

だが、実際の現場では法律と実態の間に大きなギャップが生まれているのだ。

この「法律はあるのに現場が改善されない」という矛盾こそが、警備業界がブラック化しやすい理由のひとつである。

以下で警備業法が形だけで機能していない無能であることを解説する。

現場ごとの危険に対応できていない

警備業法が制定されたのは1972年。

業界の急拡大に伴い、無資格者の警備やトラブルが増えたことを受け、最低限の教育や管理体制を整えるために作られた。

しかし、この法律が定めている研修内容はあくまで「最低限」であり、実務に必要なスキルや現場ごとの危険性に対応できるほどの深さはない。

結果として、研修を受けたからといってすぐに安全に働けるわけではなく、現場に出てから初めて知る危険や判断が多く存在する。

運用が企業によって異なる

法律があるとはいえ、その運用は企業に大きく委ねられる。

研修の質は会社によって大きく異なり、丁寧に教育する企業もあれば、形だけの研修で済ませてしまう企業も存在している。

中には、研修を受けたばかりの新人を、十分なフォローがないまま、たった一人で危険な現場に配置するケースすらある。

法律が求める基準を満たしていても、実際の現場で必要とされる知識や判断力が身についていなければ、安全は守れないのだ。

現場の実態に追いついていない

また、警備業法は現場の実態に追いついていない部分も多くある。

例えば、交通量の多い道路での誘導や、大規模イベントでの群衆管理など、現代の警備現場は複雑化し、危険性も増している。

しかし、法律が定める研修内容は昔ながらの基本的なものが中心で、現場の高度化に対応しきれていないのである。

結果として、法律上は「研修済み」とされる警備員でも、実際の現場では十分な対応ができず、事故やトラブルにつながる。

監督体制が弱い

さらに問題なのは、法律の監督体制が強固とは言えない点だ。

警備業法は存在していても、全ての企業が厳格に運用しているわけではなく、監督が行き届かないことが原因で、研修不足や労働環境の悪化が放置されてしまうケースもある。

つまり、法律があっても、それを守らせる仕組みが十分ではないため、現場の改善につながりにくいということが起きている。

このように、警備業法は業界の最低ラインを定める役割を果たしているものの、現場の実態や危険性に対しては不十分な部分が多く、法律と現場の間には大きなギャップが存在するのだ。

そのギャップこそが、警備員の教育不足や安全性の低下、ブラック化の温床となっているのだ。

★警備業界の「収益モデル」がブラック化を助長する

警備業界がブラック化しやすい理由のひとつに、業界特有の「収益モデル」がある。

警備会社は、他の業界と比べても利益率が低く、構造的に「人件費を削らざるを得ない仕組み」が根付いている。

この収益構造こそが、長時間労働や低賃金、教育不足といった問題を生み出し、ブラック化を助長しているのだ。

警備業界の収益構造については以下に整理した。

立場が弱い

警備会社の多くは、建設会社や施設運営会社、イベント主催者などから仕事を受注する「下請け」の立場にある。

元請け企業が提示する警備料金は年々下がる傾向にあり、警備会社はその低い単価の中で人件費や管理費、安全対策費をまかなわなければならない。

つまり、利益を確保するためには、どうしても人件費を抑えるという方向に向かってしまうのだ。

この構造が続くことで、警備員の給与は上がりにくく、長時間働かなければ生活が成り立たない状況が生まれてしまう。

日給制や時給制が多いのも、こうした収益モデルの影響である。

さらに、利益が少ないため、研修や安全対策に十分な投資ができず、教育不足のまま現場に出される新人が増えることになる。

結果として、事故やトラブルのリスクが高まり、現場の負担はさらに肥大化するのだ。

人員が足りない

また、警備業界は「人を派遣することで収益を得る」ビジネスモデルであるため、人手不足が直接的に売上減につながる。

そのため、企業は多少無理をしてでも現場に人を送り込もうとし、休みが取りにくい、急な呼び出しがある、シフトが不安定になるといった問題が発生する。

人手が足りないのに現場は減らせないという状況が、警備員一人ひとりの負担をさらに重くしているのである。

さらに、元請け企業からの値下げ圧力が強まると、警備会社はより安い単価で仕事を受けざるを得なくなる。

すると、利益を確保するために、現場に必要な人数を減らしたり、休憩時間を十分に確保できなかったりと、安全性を犠牲にした運用が行われることもある。

こうした「安全より利益を優先せざるを得ない構造」が、ブラック化を加速させているのだ。

★長時間労働が常態化する「現場依存型」の働き方

警備業界の労働環境がブラック化しやすい理由のひとつに、「現場依存型の働き方」がある。

警備員の勤務時間は、一般的な企業のように会社側が自由に設定できるものではなく、ほとんどが「現場の都合」によって決まる。

これが、長時間労働や不規則な勤務を生み出す大きな要因となっている。

ここでは、現場依存の問題について説明する。

勤務時間が長くなりすぎる

警備の仕事は、工事現場・商業施設・イベント会場など、さまざまな現場で行われるが、そのどれもが警備会社の都合では動かない。

工事が始まる時間、イベントの準備や撤収のタイミング、施設の営業時間や夜間体制――こうした現場側のスケジュールに合わせて警備員が配置されるため、勤務時間はどうしても長くなりがちだ。

たとえば交通誘導警備では、工事が予定より長引けば、その分だけ警備員の拘束時間も延びてしまう。

工事が終わるまで帰れないため、12時間以上の勤務になることも珍しくない。

さらに、早朝の集合や夜間作業が多く、移動時間も含めれば実質的な拘束はさらに長くなる。

休憩が十分に取れない現場も多く、炎天下や極寒の中で立ちっぱなしという過酷な状況が続くことも多いのだ。

施設警備では、24時間体制のシフトが組まれることが多く、夜勤と日勤が入り混じる不規則な勤務が続く。

夜勤明けにそのまま日勤を頼まれるケースもあり、生活リズムが崩れやすいのが特徴だ。

イベント警備では、準備から撤収まで長時間拘束されることが多く、休日や祝日が繁忙期となるため、プライベートの予定が立てにくいという問題に悩まされる。

急な呼び出しで疲弊する

人手不足が深刻な業界なので、欠員が出ると休みが潰れたり、急な呼び出しがあったりと、労働時間がさらに伸びる傾向がある。

現場が減らせない以上、少ない人数で回すしかなく、結果として一人ひとりの負担が増えてしまう。

★人手不足が深刻で、休みが取りにくい

警備業界では、慢性的な人手不足が続いている。

これは単なる一時的な問題ではなく、業界全体が抱える深刻な構造的課題だ。

人手が足りないという状況は、警備員一人ひとりの働き方に大きな影響を与え、休みが取りにくい、シフトが不安定になるといった問題を引き起こす要因である。

なぜ、人が足りないのかを以下に掲載する。

給料が安い

警備業界に人が集まりにくい理由は明確だ。

まず、給与水準が低いことが挙げられる。

長時間働いても収入が伸びにくく、責任や危険性に対して待遇が見合っていないと感じる人が多いのが現状である。

さらに、炎天下や極寒の中での立ち仕事、交通量の多い道路での誘導、酔客や不審者への対応など、体力的にも精神的にも負担が大きい仕事であるため、若い人材が定着しにくい。

休みを潰される

業界全体が高齢化し、限られた人数で現場を回さざるを得ない状況が続いている。

人手が足りないため、一人が複数の現場を掛け持ちしたり、急な欠員が出ると休みが潰れたりすることも珍しくない。

シフトが直前に変更されることも多く、プライベートの予定が立てにくいという声も多く聞かれる。

特に交通誘導警備では、工事の進行状況に合わせて人員を確保しなければならず、現場が急に決まることもある。

そのため、前日に急遽呼び出される、休日に出勤を求められるといったケースが発生しやすく、警備員の生活リズムは乱れがちになる。

休み希望が通りにくい企業も多く、結果として「休めない」「休みにくい」という不満が蓄積していく。

新人の教育が後回しにされる

人手不足は新人教育にも影響を与える。

本来であれば丁寧に研修を行い、現場でのフォローも必要だが、現場を回すことが優先されるため、教育が後回しになりがちになる。

新人が十分なサポートを受けられないまま現場に出されることで、事故やトラブルのリスクが高まり、さらに離職者が増えるという悪循環が生まれている。

★現場の危険性が高く、命のリスクが常にある

警備業界の仕事は、表向きには「安全を守る仕事」と言われる。

しかしその裏側では、警備員自身が常に危険と隣り合わせの環境に身を置いている。

特に交通誘導やイベント警備など、現場の最前線に立つ仕事では、命のリスクを感じる場面が多い。

こうした危険性の高さは、警備業界がブラック化しやすい理由のひとつでもある。

どれくらい危険なのかを以下で述べる。

交通誘導は命がけ

交通誘導警備は、警備業務の中でも最も危険度が高い職種。

車両が行き交う道路のすぐ側で作業を行うため、わずかな判断ミスやドライバーの不注意が重大事故につながる。

実際、交通誘導中の接触事故や巻き込み事故は毎年発生しており、死亡事故が起きることもある。

工事車両の死角に入り込んでしまったり、スピードを落とさない車が突っ込んでくるなど、警備員の努力だけでは防ぎきれない危険が常に存在している。

暑さと寒さにひたすら耐える

また、警備員は天候に左右される仕事でもある。

炎天下での長時間の立ち仕事は熱中症のリスクを高め、冬場の寒さは体力を奪う。

雨や雪の日でも現場が中止にならないことは多く、滑りやすい路面や視界不良の中で作業を続けなければならない。

こうした環境下での勤務は、体力的な負担だけでなく、事故のリスクをさらに高める要因といえる。

イベント警備の客対応

イベント警備では、別の種類の危険が存在している。

大規模イベントでは群衆が一気に押し寄せることがあり、圧迫事故や転倒事故が起こるおそれがある。

また、酔客やトラブル客への対応、不審者の発見など、予測不能な事態に直面するリスクも存在する。

警備員は冷静な判断を求められるが、十分な研修が行われていない場合、対応が遅れたり、逆に自分が危険にさらされる。

施設警備に潜む危険

施設警備でも危険がゼロというわけではない。

不審者対応や夜間巡回では、暗い場所や人気のないエリアを歩くことが多く、突発的なトラブルに巻き込まれるリスクがある。

深夜帯は特に、酔客や不審者との遭遇確率が高まり、精神的な緊張が続く。

★ブラック企業が紛れ込みやすい業界構造

警備業界には、他の業界と比べてもブラック企業が紛れ込みやすい。

単なる偶然ではなく、業界そのものが持つ構造的な問題によって生まれたものだからだ。

参入のしやすさ、価格競争の激しさ、監督体制の弱さなど、複数の要因が重なり、ブラック企業が生まれやすい土壌が形成されている。

なぜ、ブラック企業が多いのかを整理した。

参入障壁が低い

警備業界は参入障壁が低い業界である。

必要な許可を取得すれば比較的簡単に会社を立ち上げることができ、大きな設備投資も不要。

そのため、経験やノウハウが乏しいまま参入する企業も多く、労働環境の整備や教育体制が整っていない状態で事業を始めてしまうケースがある。

こうした企業は、法律で定められた最低限の基準すら満たさないまま運営されることもあり、結果としてブラック化しやすくなる。

価格競争が激化している

警備業界は元請け企業からの値下げ圧力が強く、激しい価格競争にさらされている。

安い単価で仕事を受けざるを得ない状況が続くと、企業は利益を確保するために人件費を削る方向に向かっていくことになる。

休憩を十分に取らせない、必要な人数を配置しない、残業代を支払わないなど、労働環境が悪化する原因となる行為が横行しやすくなる。

こうした「利益優先の運営」が、ブラック企業を生み出す温床となっているのだ。

労働基準法の管理が難しい

警備業界は現場が多岐にわたり、労働時間や勤務内容が現場ごとに異なるため、労働基準法の管理が難しいという問題もある。

現場が終わるまで帰れない、急なシフト変更がある、休憩が取れないといった状況が発生しやすく、企業側が労働時間を正確に把握できていないケースも少なくない。

この曖昧さが、サービス残業や過重労働を見逃す原因となり、ブラック化を助長している。

★離職率が高く、経験者が育たない悪循環

警備業界は、他の業界と比べても離職率が非常に高いことで知られている。

これは単なる「きつい仕事だから辞める人が多い」という単純な話ではなく、業界全体が抱える構造的な問題が複雑に絡み合って生まれた深刻な悪循環だ。

離職率の高さは、経験者が育たないという新たな問題を生み、結果として現場の質が下がり、さらに離職者が増えるという負のスパイラルを引き起こす。

まず、警備業界の離職率が高い理由として、労働環境の厳しさが挙げられる。

長時間労働、不規則なシフト、休みの取りにくさ、危険と隣り合わせの現場――こうした過酷な環境が続くことで、体力的にも精神的にも消耗し、短期間で辞めてしまう人が多いのが現状だ。

特に交通誘導警備は、炎天下や極寒の中での立ち仕事が続き、事故のリスクも高いため、定着率が低くなりがちである。

さらに、給与水準の低さも離職率を押し上げる大きな要因になっている。

責任や危険性に対して待遇が見合っていないと感じる人が多く、長く続けるメリットを見出しにくいという声も少なくない。

日給制や時給制が多いため、安定した収入を得にくく、生活のために別の仕事へ移る人も多いのが実情である。

こうした状況の中で、経験者が育ちにくいという問題が生まれる。

本来であれば、経験豊富な警備員が新人を指導し、現場の質を高めていくべきだが、離職率が高いためにベテランが定着しない。

新人が入っても、十分な教育を受けられないまま現場に出されることが多く、結果として事故やトラブルが増え、さらに離職者が増えるという悪循環が続いてしまう。

また、人手不足が深刻なため、企業は新人を即戦力として扱わざるを得ない状況にある。

本来ならば時間をかけて育成すべきところを、現場を回すために急いで配置するため、教育が不十分なまま危険な現場に立たされる。

これが新人の不安やストレスを増幅させ、早期離職につながることも少なくない。

このように、警備業界では「離職率が高い → 経験者が育たない → 現場の質が下がる → トラブルが増える → さらに離職率が上がる」という悪循環が長年続いている。

業界全体がこのサイクルから抜け出さない限り、労働環境の改善や安全性の向上は難しいのだ。

★業界の将来性と改善の兆し

警備業界は、長年にわたりブラック化が指摘されてきた。

しかし近年、業界全体に少しずつだが、改善の兆しが見え始めている。

テクノロジーの進化や社会の価値観の変化、国の働き方改革などが追い風となり、警備業界は新たな転換期を迎えつつある。

ここでは、業界の将来性と改善の方向性について詳しく見ていく。

テクノロジーの導入による業務効率化

注目されているのが、テクノロジーの導入による業務効率化だ。

AIカメラ、顔認証システム、ドローン巡回、遠隔監視システムなど、最新技術を活用した警備が広がり始めた。

これにより、従来は人が行っていた巡回や監視の一部が自動化され、警備員の負担が軽減されることが期待される。

特に施設警備では、AIによる異常検知や自動通報システムが普及しつつあり、現場の安全性と効率が向上している。

働き方改革

国の働き方改革が進み、警備業界にも労働時間の見直しや休憩管理の徹底が求められるようになった。

従来の曖昧だった労働時間の管理が厳格化され、長時間労働の是正に取り組む企業が増えている。

シフト管理システムの導入や、現場の進行状況をリアルタイムで把握できるツールの普及により、無駄な拘束時間を減らす動きも見られる。

待遇改善

業界全体で待遇改善の動きが始まった。

人手不足が深刻化する中で、優秀な人材を確保するために給与を引き上げたり、資格手当を充実させたりする企業が増えている。

特に大手警備会社では、研修制度の強化やキャリアアップ制度の整備が進み、長く働ける環境づくりに着手されるようになった。

従来の「低賃金・低待遇」というイメージを払拭しようとする動きが加速しているのだ。

安全・安心への意識が高まっている

社会全体で「安全・安心」への意識が高まっていることも、警備業界の将来性を支える重要な要素だ。

高齢化社会の進行により、見守りサービスや地域安全活動の需要が増え、警備業務の幅は大きく広がっている。

災害対策や防犯対策の強化が求められる中で、警備員の役割はますます重要になり、業界全体の需要は今後も安定して続くと考えられるのだ。

★今後も人が必要な現場は残る

もちろん、全てが順調に進んでいるわけではない。

交通誘導など「人が必要な現場」は今後も残り続けるため、完全な自動化は難しく、労働環境の改善には時間がかかるだろう。

しかし、これまで長く続いてきた悪循環を断ち切るための取り組みが確実に進んでいることは、業界にとって大きな前進といえよう。

警備業界は今、過去の課題を抱えながらも、新しい技術や社会の変化を取り入れ、より働きやすく、安全性の高い業界へと変わろうとしている。

改善の兆しは確かに存在しており、今後の取り組み次第で、警備業界は大きく生まれ変わる可能性を秘めているのだ。

★終わりに

警備業界は、私たちの生活を支えるために欠かせない存在だ。

工事現場の安全確保、施設の防犯、イベントの秩序維持――どれも社会が円滑に回るために必要な役割であり、その最前線に立つのが警備員である。

しかし、その重要性とは裏腹に、業界には長年にわたり多くの構造的な課題が積み重なってきた。

長時間労働、人手不足、低賃金、危険な現場、教育不足、ブラック企業の混入など、問題は一つではなく複雑に絡み合っている。

これらは単なる企業努力だけでは解決できない、業界全体の仕組みに根付いた深い課題といえる。

それでも、近年はテクノロジーの導入や働き方改革の影響により、改善の兆しが見え始めた。

待遇改善に取り組む企業も増え、業界全体が変わろうとする動きも確実に広がっている。

警備員が安心して働ける環境が整えば、現場の安全性も高まり、社会全体の安心につながるはずだ。

警備業界は、これから大きな転換期を迎える。

課題は多いものの、変革の可能性も同じだけ存在している。

社会にとって不可欠な仕事だからこそ、業界全体がより良い方向へ進むことを期待したい。

だが、それでも警備業界のブラックな環境はこりごりだという人には、退職をおすすめする。

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