
求人票で頻繁に見かける「固定残業代◯時間分を含む」という表記は、一見すると給与が安定しているように見え、魅力的に感じるかもしれない。
しかし、この制度の裏側には、労働者にとって重大な不利益をもたらす構造的な問題が潜んでいる。
固定残業代は制度そのものが悪いわけではないが、企業側にとって都合が良すぎる仕組みであるがゆえに、悪用されやすく、ブラック企業が好んで採用する傾向が強い。
実際には、固定残業代制度を導入している企業の多くが、実際の残業時間と固定残業時間が一致していなかったり、基本給を極端に低く設定していたり、労働時間の管理を曖昧にしていたりと、労働者に不利な運用を行っている。
さらに、残業を前提とした働き方が常態化し、社員の健康やキャリア形成が犠牲にされるケースも少なくない。
固定残業代制度は、企業が人件費を抑え、労働力を最大限に搾り取るための“仕組み”として機能してしまう危険性を持っているのである。
もし、固定残業代制度の会社への転職を検討している、あるいはすでにその環境で働いているのであれば、その制度の本質とリスクを正しく理解することが不可欠だ。
本稿では、固定残業代の会社で働くことがおすすめできない理由と、その危険性を多角的な視点から徹底的に解説する。
時間と人生を守るための判断材料として、ぜひ最後まで読み進めてほしい。
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★固定残業代とは何か(制度の本質)
固定残業代とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度である。
例えば、求人票に「月給25万円(固定残業代30時間分を含む)」と記載されていれば、その30時間分の残業代は最初から給与に含まれているという意味だ。
制度そのものは違法ではなく、法律上も認められている。
しかし、固定残業代制度の本質を理解すると、企業側にとって極めて都合が良い仕組みであり、労働者にとっては不利益を被りやすい制度であることが分かる。
例:月給25万円(固定残業代30時間分を含む)
この制度自体は合法であるが、「固定残業時間を超えた分を支払わない」「基本給を極端に低く設定する」
「実際の残業時間を隠す」など、悪用されるケースが非常に多い。
つまり、制度そのものよりも、運用する企業の姿勢が問題なのである。
★固定残業代の会社がおすすめできない理由・危険性
固定残業代制度は、一見すると「残業代があらかじめ給与に含まれていて安心」のように見える。
しかし、その実態は、労働者に不利益を押し付ける構造的なリスクを多く抱えた制度である。
制度自体は合法であるが、悪用されやすく、ブラック企業が好んで採用する傾向が強い。
以下では、その危険性を多角的に解説する。
実際の残業時間と固定残業時間が一致しない構造的リスク
固定残業代制度の最大の問題点は、固定残業時間と実際の残業時間が一致しないことが前提になりやすい構造にある。
制度自体は「一定時間分の残業代を先払いする仕組み」であるが、現実にはその一定時間が守られないケースが非常に多い。
これは偶然ではなく、制度の構造そのものが、企業側にとって残業を増やしやすいインセンティブを生むためだ。
よくある実態
固定残業代を導入している企業では、制度そのものよりも「運用の仕方」に問題があるケースが多い。
求人票では魅力的に見えても、実際に働き始めると、固定残業時間を超える長時間労働が当たり前になっていたり、追加の残業代が支払われなかったりすることが珍しくない。
また、基本給が極端に低く設定されていたり、労働時間の管理が曖昧だったりと、働く側が不利になる構造が放置されていることもある。
固定残業代が「ブラック企業の隠れ蓑」として悪用されている典型例といえる。
給与が高く見えるカラクリがある
固定残業代を採用している企業の中には、求人票の給与を高く見せるために「カラクリ」を仕込んでいるケースが存在する。
月給のうち大きな割合を固定残業代として計上し、あたかも高収入であるかのように見せかける手法である。
しかし実際には、基本給が極端に低く設定されていたり、固定残業時間が異常に長かったりと、実質的な手取りや将来の収入に不利な構造になっていることが多い。
見た目の月給だけで判断すると、入社後に「思っていたより稼げない」というギャップに直面しやすい点が大きな落とし穴だ。
基本給が低く設定されやすい(長期的損失)
固定残業代制度を採用している企業の中には、見かけの月給を高く見せるために基本給を意図的に低く設定しているケースが少なくない。
基本給が低いと、昇給額・賞与・退職金といった長期的な収入に大きな影響が出る。
たとえ月給が高く見えても、その多くが固定残業代で占められている場合、将来的な収入は伸びにくく、キャリアを積むほど損をする構造になりやすい。
短期的な給与額だけで判断すると、後になって大きな不利益を被る可能性がある点に注意が必要だ。
残業を前提とした働き方が常態化する
固定残業代を導入している企業の中には、「どうせ残業代は払ってある」という意識から、長時間労働を前提とした働き方が常態化しているケースがある。
定時で帰ることが事実上できなかったり、業務量が固定残業時間を大幅に超える前提で割り振られていたりと、社員の時間を「使い切る」ことが当たり前になってしまう。
心身の負担が蓄積しやすく、働き続けるほど消耗していくのだ。
固定残業代があることで、残業を抑える仕組みが機能しにくくなる点は大きなリスクだ。
労働時間の管理が曖昧になりやすい(ブラック企業の温床)
固定残業代を導入している企業の中には、残業時間の管理が曖昧になりやすいという問題がある。
固定残業代を支払っていることを理由に、実際の労働時間を正確に把握しようとしない会社もあり、結果としてサービス残業が常態化しやすい。
タイムカードの運用が杜撰だったり、上司の裁量で労働時間が“調整”されるような環境は、ブラック企業の温床になりやすい。
労働時間が適切に管理されない職場では、働く側が損をする構造が生まれやすく、長期的に見ても非常に危険だ。
超過残業代を請求しづらい心理的圧力がある
固定残業代制度の会社では、社員が超過分の残業代を請求しづらい空気がある。
単なる「言いづらさ」ではなく、組織文化・評価制度・人間関係・自己肯定感の低下など、複数の要因が複雑に絡み合って生じる「心理的圧力」だ。
よくある圧力として、「固定残業代をもらっているんだから文句を言うな」「うちはそういう文化だから」「みんなやっている」というものが存在する。
脅迫まがいの空気は、社員の権利を奪う危険な環境といえる。
労働環境がブラック化しやすい構造がある
固定残業代を採用している企業の中には、この制度を都合よく使うことで、労働環境がブラック化しやすい構造を生み出しているケースがある。
固定残業代を支払っていることを理由に、実際の労働時間を正確に管理しなかったり、過剰な業務量を押しつけたりしても「残業代は含まれている」と片付けられてしまうことがある。
こうした仕組みが放置されると、長時間労働・サービス残業・パワハラの温床になりやすく、働く側が不利な状況に追い込まれやすい。
制度そのものよりも、悪用されやすい構造が問題だといえる。
キャリア形成が阻害される(長時間労働の罠)
固定残業代の職場では、長時間労働が前提になりやすく、その結果として自分のキャリア形成に必要な時間やエネルギーが奪われてしまうことが多い。
スキルアップの勉強や資格取得、副業や転職準備といった「未来への投資」ができず、気付けば今の仕事に縛られたまま成長の機会を逃してしまう。
長時間労働の罠にはまると、短期的な疲労だけでなく、長期的なキャリアの停滞という大きな損失につながる点が大きなリスクだ。
健康リスクが高まる(長期的ダメージ)
固定残業代の職場では、長時間労働が常態化しやすく、その結果として心身の健康リスクが大きく高まる。
慢性的な疲労やストレスは、睡眠障害・胃腸トラブル・メンタル不調などにつながり、放置すると回復に長い時間が必要になることもある。
働き続けるほど体力も気力も奪われ、気付いた時には深刻なダメージを負っているケースも少なくない。
健康を損なうとキャリアどころか日常生活にも影響が出るため、長期的な視点で見ても非常に大きなリスクといえる。
固定残業代制度は「辞めづらい構造」を生む
固定残業代制度を採用している企業では、長時間労働が常態化しやすく、心身が疲弊して転職活動に割ける時間や余力が奪われがちだ。
その結果、「辞めたいのに動けない」という状態に陥りやすい。
また、基本給が低く設定されているケースでは、退職金やボーナスが少なく、転職後の収入見通しに不安を抱きやすいため、現状にしがみつかざるを得ない心理が働くこともある。
こうした要素が重なることで、固定残業代制度は働く人を「辞めづらい構造」へと追い込みやすい点が大きな問題だ。

★固定残業代の会社に向いていない人
固定残業代制度は、企業側にとっては人件費をコントロールしやすい便利な仕組みだが、労働者にとっては長時間労働・低基本給・曖昧な労働時間管理など、多くのリスクを伴う制度である。
よって、固定残業代制度の会社は、特定の価値観や働き方を求める人にとって極めて相性が悪い。
以下では、固定残業代の会社に向いていない人の特徴を、深く掘り下げて解説する。
ワークライフバランスを重視する人
ワークライフバランスを大切にしたい人にとって、固定残業代の職場は相性が悪いことが多い。
制度の性質上、残業が前提になりやすく、定時で帰ることが難しい環境が生まれやすいからだ。
仕事後の時間を趣味や家族との時間に使いたい人、プライベートを充実させたい人にとっては、思い描いた生活リズムが崩れやすく、ストレスが蓄積しやすい。
自分らしい働き方を実現したいなら、労働時間が適切に管理されている職場を選ぶことが重要になる。
健康を大切にしたい人
健康を優先したい人にとって、固定残業代の職場は大きな負担になりやすい。
制度の特性上、長時間労働が常態化しやすく、心身の休息が十分に取れない環境が生まれがちだ。
慢性的な疲労やストレスが積み重なると、体調不良やメンタル面の不調につながり、生活全体の質が下がってしまう。
健康を守りながら働きたい人ほど、労働時間が適切に管理されている職場を選ぶことが重要になる。
キャリア形成を重視する人
キャリア形成を大切にしたい人にとって、固定残業代の職場は大きなデメリットになりやすい。
長時間労働が前提となる環境では、スキルアップの勉強や資格取得、転職準備といった「未来への投資」に時間を割くことが難しくなる。
さらに、基本給が低く設定されているケースでは、昇給やボーナスが伸びにくく、長期的な収入面でも成長が阻害されやすい。
自分の市場価値を高めたい人ほど、時間とエネルギーを確保できる働き方を選ぶことが重要になる。
公正な評価を求める人
公正な評価を重視する人にとって、固定残業代の職場は不満を抱きやすい環境になりがちだ。
固定残業代があることで、実際にどれだけ努力しても「残業時間」という指標で評価されにくく、成果よりも長時間働くことが前提になってしまうケースがある。
また、基本給が低く設定されている企業では、昇給や賞与が伸びにくく、努力が収入に反映されにくい構造が生まれやすい。
成果に見合った評価を求める人ほど、評価制度が透明で、労働時間と成果が正しく結びつく職場を選ぶことが大切になる。
労働時間を正確に管理してほしい人
労働時間をきちんと管理してほしい人にとって、固定残業代の職場は不安や不満を抱きやすい環境になりがちだ。
制度の特性上、「固定残業代を払っているから」という理由で、実際の労働時間の把握が曖昧になりやすく、サービス残業が発生しても気付かれにくい。
タイムカードの運用が杜撰だったり、上司の裁量で労働時間が“調整”されるような職場では、公正さや透明性が損なわれる。
労働時間を正確に管理してほしい人ほど、勤怠管理が徹底されている企業を選ぶことが重要になる。
精神的に繊細な人・ストレス耐性が低い人
固定残業代制度の会社は、長時間労働、高圧的な文化、同調圧力、超過残業代を請求しづらい空気など、精神的負担が大きい。
精神的に繊細な人・ストレス耐性が低い人が向いていない理由として、プレッシャーに弱い、無理をしがち、人の目を気にしやすい、自己肯定感が下がりやすいというものがある。
こうした人は、固定残業代制度の会社で心をすり減らしやすいのだ。
家庭や育児を大切にしたい人
家庭や育児を優先したい人にとって、固定残業代の職場は大きな負担になりやすい。
制度の特性上、残業が前提となる働き方が生まれやすく、保育園のお迎えや家事の時間、家族との時間を確保しにくくなるからだ。
予定外の残業が発生しやすい環境では、家庭との両立が難しくなり、精神的なストレスも増えやすい。
家族との時間を大切にしたい人ほど、労働時間が安定し、柔軟な働き方ができる職場を選ぶことが重要になる。
収入を安定させたい人
収入の安定を重視する人にとって、固定残業代の職場はリスクが大きい。
固定残業代が給与の大部分を占めている場合、基本給が低く設定されていることが多く、賞与や昇給、退職金といった長期的な収入が伸びにくい構造になりがちだ。
さらに、残業時間が減った途端に手取りが大きく下がるケースもあり、毎月の収入が安定しにくい。
安定した生活基盤を築きたい人ほど、基本給がしっかり確保されている職場を選ぶことが重要になる。
自分の人生を主体的に生きたい人
自分の人生を主体的に生きたい人にとって、固定残業代の職場は大きな制約になりやすい。
長時間労働が前提となる環境では、やりたいことに時間を使う余裕がなくなり、仕事中心の生活に引きずられてしまうからだ。
本来なら自分で選びたいはずの時間の使い方やキャリアの方向性が、会社の都合によって左右されやすく、気づけば「働かされているだけ」の状態に陥りやすい。
自分の価値観や目標に沿って人生をデザインしたい人ほど、時間と選択肢の自由度が高い働き方を選ぶことが重要になる。

★終わりに
固定残業代制度は、一見すると合理的で便利な仕組みのように見える。
しかし、その裏側には、長時間労働の常態化、労働時間管理の曖昧さ、低基本給構造、そして社員を辞めづらくする心理的・組織的な圧力など、労働者にとって深刻なリスクが数多く潜むのだ。
制度の存在そのものは合法であるが、現実の運用は必ずしも健全とは言えず、むしろ労働者の時間・健康・キャリアを犠牲にする方向へ働きやすい構造を持っている。
働く環境は、人生の質を大きく左右する。
長時間労働が続けば、心身は確実に疲弊し、自己肯定感は低下し、キャリア形成の機会は奪われる。
そして、疲れ切った状態では、環境を変える判断力や行動力すら失われていく。
固定残業代制度の会社が抱える問題は、単なる給与体系の話ではなく、人生そのものに影響を及ぼす構造的な問題である。
もし、「この働き方はおかしいのではないか」「このまま続けて大丈夫なのか」と感じているのであれば、その違和感は決して間違っていない。
むしろ、その感覚こそが、心と身体が発している重要なサインだ。
働き方は選べる。
環境は変えられる。
固定残業代制度の会社に縛られ、人生を消耗する必要はない。
時間は有限であり、人生は自身のためのものだ。
どうか、自分の未来を守るための選択を恐れず、より健全で、より誠実で、より成長できる環境へと歩み出してほしい。
人生は、今この瞬間から変えられる。
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